「業界NEWS」の記事一覧(30件)
カテゴリ:業界NEWS / 投稿日付:2024/03/22 09:10
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改正空家対策特別措置法が施行
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日本全国に849万戸あるという空き家(総務省、2018年住宅・土地統計調査)。空き家問題は、今やとても身近なものになっている。2023年12月13日に施行された改正空家対策特別措置法(改正空家法)は、危険な空き家を生まないための管理の確保と、空き家の活用促進を大きなテーマにしている。改正のポイントを整理する。
固定資産税の優遇解除「管理不全空家」
これまで、対策を要する空き家として空家法が定義していたのは、そのままだと倒壊して周囲に大きな悪影響を及ぼす「特定空家」だけだった。改正空家法は、管理が不十分で放っておくと特定空家になるおそれがある空き家を「管理不全空家」と新たに定義した。
市区町村長から管理不全空家として勧告を受けると、その空き家は固定資産税の住宅用地特例(最大6分の1減額)が適用できなくなる。特定空家化してしまう手前の段階で空き家に適正な管理を確保し、特定空家の増加を防ぐための手立てだ。
1月1日が課税基準日となる固定資産税。改正空家法の施行後、2024年の1月1日までには3週間程度しかなかったため、勧告を受け特例が解除される管理不全空家が出てくるのは2025年度の固定資産税からとみられる。管理不全空家かどうかの判断は、空き家の現況から各自治体が総合的に判断する。国土交通省が公表している自治体向けの参考基準によれば、管理不全空家は「建築物の構造部材の破損、腐朽、蟻害、腐食」、「清掃等がなされておらず、飛散のおそれがあるごみ等が敷地等に認められる」、「排水設備の破損等」などが基準に挙げられている。
法改正によって管理不全空家が登場したことで、空き家所有者から第三者に管理を委託するニーズも高まると予想される。国土交通省では、空き家の管理をビジネスとして受ける場合の空き家管理受託に係るガイドラインを2024年3月末までに策定予定だ。
エリアで集中活用「空家等活用促進区域」
中心市街地など、地域の拠点となるエリアに空き家がたくさんあると、地域全体の魅力や機能が損なわれてしまう。そこで改正空家法では、空き家の活用を集中的に行うことができる「空家等活用促進区域」の制度を創設した。市区町村が具体的な区域を設定し、どのような空き家活用を行うか、活用指針を定める。活用指針には、接道規制や用途規制を緩和する特例を設けることができる。
この特例により、活用指針に沿った空き家は、敷地が幅4m以上の道路に2m以上接していなくても建て替えや改築がしやすくなる。第一種低層住居専用地域に空き家を再生したカフェをオープンするといった事例も出てくるだろう。
不動産業者・団体も想定「支援法人制度」
空き家の相談窓口となり、管理と活用に取り組む団体・企業・NPO法人などを、市区町村長が「空家等管理活用支援法人」に指定する制度も創設された。
空き家を活用したくても、どこに相談していいかわからず、結果的に空き家をそのままにしている所有者も多い。支援法人は、市区町村から空き家の所有者情報の提供(所有者の同意を得た提供)を受けて、所有者と活用希望者に情報提供を行い、両者のマッチングや所有者からの委託により管理も実施する。このように支援法人は、人手不足の市区町村の空き家対策をサポートする役割を担うことになる。
支援法人のなり手としては、空き家の流通や管理に専門的知見がある不動産業者や不動産団体が期待されている。
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〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓カテゴリ:業界NEWS / 投稿日付:2024/02/25 09:09
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空き家の発生を抑制するための特例措置(3,000万円特別控除)の改正について
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「空き家」が全国で増加しており、大きな問題になっています。空き家の取得原因の過半は「相続」によるものです。こうした背景に鑑み、相続した一定の空き家を譲渡する場合のインセンティブとして、「空き家の発生を抑制するための特例措置(3,000万円特別控除)」が設けられており、本特例措置は令和5年度税制改正において要件拡充等がなされました。本稿では、空き家問題の概要をご紹介したうえで、本特例措置に関する制度概要や改正内容の留意点について解説します。
20年間でおよそ2倍、349万戸まで増加した「使用目的のない空き家」
わが国では、人口減少等を背景にして全国的に空き家が増加しています。平成30年の住宅・土地統計調査(総務省)によれば、空き家の総数はこの20年で約1.5倍(576万戸→849万戸)に増加しました。このなかでも二次的利用、賃貸用又は売却用の住宅を除いた長期にわたって不在の住宅などの「使用目的のない空き家」は、この20年で約1.9倍に増加し、その数は349万戸に及びます。
空き家はそのまま放置されることにより、「老朽化し危険な状態となる」、「害獣が住み着く」、「街の景観を悪化させる」といった安全、衛生、景観面等において周囲にさまざまな問題をもたらすおそれがあります。空き家の数は今後も増加する見込みであり、深刻な社会問題です。
このように全国で空き家問題が深刻化するなか、国をあげて空き家対策を推進するため、平成26年に「空家等対策の推進に関する特別措置法(以下「空家法」といいます)」が制定されました。これは、状態が悪く周囲に著しい悪影響を及ぼす空き家(以下「特定空家」といいます)に対応することに主眼を置いた法律であり、制定後一定の効果をあげていました。しかし、上述のとおり空き家は増加の一途をたどっており、特定空家になってからの対応には限界がありました。
このような状況から、第211回通常国会において空家法の改正案が提出され、令和5年6月に成立・公布されました(空家等対策の推進に関する特別措置法の一部を改正する法律)。改正された空家法は今後も空き家の増加が見込まれるなか、空き家が特定空家になる前に活用や管理を促し、また、特定空家への措置をさらに充実させるもので、令和5年12月13日から施行されています。
空き家対策は空家法に基づく措置だけではありません。国土交通省においては、地方公共団体や民間事業者に対して、空き家の除却や活用等に対する支援やモデル的な取組等に対する支援(予算上の補助制度等)を行っており、必要に応じて補助率の引き上げや補助対象の追加を実施することで、地方公共団体の空き家対策をさらに後押ししています。
これらに加え、税の側面から空き家対策を後押しするために設けられたのが、本稿で解説する「空き家の発生を抑制するための特例措置(3,000万円特別控除)」です。
「空き家の発生を抑制するための特例措置(3,000万円特別控除)」とは?
空き家の取得理由の約55%は、「相続」によるものです(令和元年・空き家所有者実態調査〈国土交通省〉)。相続は不可避的に発生するもので、相続人は活用意思の有無にかかわらず空き家を所有することになります。その結果、相続した空き家を活用せずそのまま放置してしまい、状態が悪化するなどして空き家が周囲に悪影響を及ぼしてしまうケースが一定数存在します。このような空き家の発生原因に鑑み、相続等により取得した空き家を早期に市場に流通させ、活用を図るための政策税制(インセンティブ)として、平成28年に「空き家の発生を抑制する特例措置(3,000万円特別控除)」(以下「本特例措置」といいます)が創設されました。
本特例措置は、被相続人の居住の用に供していた家屋(昭和56年5月31日以前に建築されたものに限ります)とその敷地を、相続又は遺贈により取得した相続人等が相続日から起算して3年を経過する日の属する年の12月31日までに、当該家屋又は当
該家屋とその敷地を一定の要件を満たしたうえで譲渡した場合には、その譲渡所得から3,000万円を特別控除するものです(本特例措置の概要についての詳細は、国土交通省HP※1をご参照ください)。
本特例措置の対象は、あくまで被相続人が居住していた家屋が相続の発生により「空き家」となる場合に限られます。そのため、たとえば相続開始の直前に当該家屋に被相続人の他に同居人が存在していた(相続が発生しても空き家にならない)場合や、相続後に家屋及びその敷地が事業・貸付け・居住の用に供された(相続後に空き家となっていない)場合は、本特例措置の対象外となります。
また、本特例措置の対象は、「被相続人の居住の用に供していた家屋」に限定されます。これは、本特例措置が、「居住用財産の譲渡所得の特別控除(3,000万円)」の考えに基づいて創設されたものであり、本特例措置について規定する租税特別措置法(昭和32年法律第26号)第35条第3項においても、「居住用財産を譲渡した場合に該当するものとみなして」と規定されていることからもそれがわかります。そのため、たとえば相続開始の直前まで被相続人が当該家屋に居住しておらず、別の場所に居住していた場合は、本特例措置の対象外となります。
本特例措置は創設後、平成31年度税制改正により、被相続人が相続開始の直前に被相続人の居住の用に供していた家屋ではなく、老人ホーム等に入居していた場合であっても、本特例措置の対象となる旨の要件の拡充がなされました。被相続人が相続開始の直前に老人ホーム等に入居していた場合であっても、入居期間中に当該家屋を一定利用していることをもって、「被相続人の居住の用に供していた家屋」とみなして本特例措置の対象として扱う、というものです。
そして今般、令和5年度税制改正により、本特例措置はさらなる要件拡充等がなされることとなりました。
さらなる活用が期待される、令和5年度税制改正による要件拡充
令和5年度税制改正以前(令和5年12月31日以前の譲渡が対象)において、本特例措置の適用を受けるためには、「譲渡のときまでに」売主が、当該家屋を耐震改修すること、又は当該家屋の除却を行うことが必要でした。
この点、令和5年度税制改正により、令和6年1月1日以降の譲渡については、「譲渡のときからその翌年2月15日までに」家屋を耐震改修又は除却した場合、つまり買主が譲渡のとき以降に当該家屋を耐震改修又は除却した場合についても、本特例措置を適用できることとなったのです。
これにより、売主において譲渡のときまでに家屋の耐震改修又は除却にかかる費用負担が発生することはなくなり、不動産取引や買主のニーズ等に合わせて、より柔軟に本特例措置を活用することができるようになりました。また、適用期限についても、4年間の延長(令和6年1月1日~令和9年12月31日まで)がなされました。
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超高齢化社会の到来、空き家問題、住宅の省エネ化など、課題は山積
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金利上昇の懸念から「買い時感」が上昇!住宅購入の判断が困難な状況から脱却
今年は約3年に及ぶコロナ禍から脱して、各種イベントも再開し、急速にインバウンドも増え、ようやく経済に回復の兆しが見えてきた。
一方、社会保障費の増大や労働力不足が懸念される超高齢化社会の到来(「2025年問題」)を目前に控え、空き家の増加や、人口減少による将来的な不動産価格の下落の不安を感じる人もじわじわ増えている。
さらには温暖化や自然災害多発の影響もあり、住宅の省エネ化や防災意識の高まりなど、住まいに関連して気になる課題が山積されている。
こうした社会情勢を踏まえ、不動産に対する意識はどう変化しているのか。まずは恒例の「いま、不動産は買い時だと思いますか」の問いから見てきたい。
「買い時だと思う」と回答したのは15.8%と3年ぶりに上昇に転じた。「買い時だと思う」理由のトップは「今後、住宅ローンの金利が上昇しそうなので(今の金利が低いので)(44.0%)」。ついで「不動産価値(価格)が安定または上昇しそうだから(24.9%)」、「住宅ローン減税など住宅取得のための支援制度が充実しているから(24.6%)」と市場の変化を冷静に見ていることが伝わる。
その一方で、「買い時だと思わない」と回答した人も37.0%と前年に比べ大幅にアップした。理由のトップは「不動産価値(価格)が下落しそうだから(29.7%)」、ついで「自分の収入が不安定または減少しているから(25.4%)」と消極的な理由が目立つ。
また買い時かどうか「わからない」と回答した人は前回67.2%から47.2%と20pt近く大幅に下落したことも特徴的だ。先行き不透明だったここ数年の市況から脱し、住宅ローン金利が上昇し続けていることなど、不動産の売買における判断が困難な状態が改善されていることが伺える。
家を所有するかどうかにも考え方に変化がみられる。「『持ち家派』か、『賃貸派』か」の問いに「持ち家派」が67.5%と前回から10pt以上減少し、調査開始以来初の60%台となり、今回のアンケートからは持ち家が憧れではなくなりつつあることが読み取れる。「持ち家派」の理由は、「家賃を払い続けることが無駄に思えるから(56.8%)」「落ち着きたいから(37.4%)」「老後の住まいが心配だから(35.3%)」と、家を所有することで将来的に安定して暮らせるとの思いが強い。
「賃貸派」の理由は、「住宅ローンに縛られたくないから(45.3%)」「税金や維持管理にコストがかかるから(34.3%)」「不動産を所有しない身軽さが良いから(29.4%)」と、家を維持する経済的な負担に加え、建物の維持管理を重荷と捉えていることが伝わる。
物件の環境や建物の省エネ性能を重視。空き家になる前段階での予防策を
では、住まい選びに関して重視するポイントはどう変化しているだろうか。「住み替えで重視するポイント」として最も多い回答は「購入金額・賃料(48.0%)」だが、「周辺・生活環境がよい(45.8%)」「交通の利便性がよい(38.5%)」など、間取りや日当たりよりも、その物件の地域環境が重要視されているようだ。
また、昨今ではインターネットを活用した物件検索が定着しつつあるが、住まい選びの際にどのような情報が求められているのか。「『あると便利』な物件情報」の1位は「物件写真」で、56.6%と圧倒的に多いが、注目すべきは2位の「物件の品質情報(省エネ・耐震等)(39.1%)」と前回調査から10ptほど急上昇したことだ。来年4月から分譲住宅や賃貸住宅でも「建築物省エネ性能表示制度」の努力義務が始まる予定だが、住まいの省エネ性能に対する意識が上がっているのだろう。「カーボンニュートラル」(=住宅の断熱性能や省エネ性能)を「意識する」と答えた層も46.3%と半数近くに及んでいる(図表5)。
また空き家問題や高齢化が深刻化するなかで覚えておきたいことが、高齢化により判断能力が不十分となった場合に、不動産の処分や金融資産の利用が制限されること。しかし、このことを55.6%と半数以上が「知らない」と答えている(図表6)。不動産会社がこうした情報をなるべく早めに提供し、早い段階で空き家を予防するような対策が行われることが望ましい。
今回の調査結果から、社会情勢に関連して住まいに関する意識は刻々と変化していることが伝わってくる。
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カテゴリ:業界NEWS / 投稿日付:2023/12/22 09:22
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「基準地価」から読み取る住まいを取り巻く今後の状況
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住宅地の上昇率では北海道の多くの地点がベストテン入り
基準地価は、毎年7月1日時点の全国2万1,381地点における「基準地」を、各都道府県から依頼を受けた不動産鑑定士が鑑定して算出した土地の価格です。
まず、全体像から申し上げると、2023年の基準地価は住宅地、商業地のいずれも2年連続の上昇となりました。上昇率は住宅地が0.7%(昨年は0.1%)、商業地が1.5%(同0.5%)で、これは新型コロナウイルスの影響前である2019年の上昇率を上回っています。
全体的には住宅地の地価上昇が顕著です。東京圏、大阪圏、名古屋圏の三大都市圏は2.2%(同1.0%)ですが、札幌、仙台、広島、福岡の地方四市が7.5%と目立つ上昇率でした。地方四市は11年連続でプラスであり、上昇幅は2020年以降最高値です。
また、その他地方圏は-0.2%だったものの、これは過去15年間で最も低いマイナスになっています。地方四市の地価上昇が続くなかで、その周辺の市町へ需要が波及し、その他地方圏でも底堅い展開になったと思われます。
住宅地の基準地別の上昇率ベスト10を見ると、千歳市の地点が1~3位と8位・10位を占め、恵庭市が4位と6位、そして北広島市が7位と10位にランクインしました。
さらに県庁所在地別で見ると、住宅地では札幌市が12.5%の上昇で47都市中1位、札幌市の各区は9.2~18.2%という上昇率になっています。
とにかく北海道の道央周辺の土地が賑わっています。2010年代はニセコ周辺が注目されましたが、今は第二のニセコということでルスツが注目されています。2023年3月には北広島市にエスコンフィールドを含む北海道ボールパークFビレッジが開業。半導体メーカーであるラピダスが千歳市に大型工場を建設し、さらに2030年には現在、新青森駅から新函館北斗駅が開通している北海道新幹線がいよいよ札幌駅まで延伸される予定です。
まさに今の北海道は、地方圏における地価上昇の縮図といってもいいでしょう。特にラピダスのような大規模工場開発が行われれば、その工場に勤務する人たちが住む場所が必要になるため、地方圏における住宅価格の上昇に拍車がかかります。岸田内閣は、半導体など重要物資の国内での生産拡大に向け、土地利用規制を緩和する方針を打ち出しており、今後、ラピダスやTSMCと同様の動きが地方で生じる可能性が高まってきています。
富裕層の移住やセカンドハウスの取得が人気のある地域の地価を押し上げている
地方圏の住宅地価格が上昇している理由としては、移住やセカンドハウスの所有が増える傾向にあることも一因だと思われます。新型コロナウイルスの感染拡大と、それによるリモートワークの普及が原因と思われますが、コロナ禍の当初に見られたような東京近郊へのプチ移住的な動きは、一時期に比べて落ち着きを取り戻しています。たとえば、千葉県郊外の地価上昇は、一時期に比べて止まる気配を見せています。
一方で富裕層による、ブランド地域への移住やセカンドハウス所有の動きは、まだまだ続いています。
観光地+移住(セカンドハウス)の構図として代表的な地域は長野県の軽井沢です。実際、長野県内の住宅地地価上昇率ベスト5は、すべて軽井沢町で占められました。
こうした富裕層の移住先として今後、期待されるのが八ヶ岳エリアです。清里は一時的な盛り上がりを見せたものの苦戦。代わりに、山梨県北斗市に見直しの機運が高まりつつあります。また、都心に近く、風光明媚な場所ということで注目されているのが熱海です。日本で唯一、別荘所有税という税金のかかる土地ですが、近年ではホテルの新設、ならびに駅近くにタワーマンションやマンションが建設されています。熱海駅周辺の基準点の地価上昇率は、住宅地で13.4%、商店街で12.9%にもなりました。
そして、もうひとつ注目されているのが神奈川県の海に近いエリアである鎌倉、茅ヶ崎、藤沢などです。鎌倉市は3.2%、茅ヶ崎市は4.5%、藤沢市は4.1%の上昇率です。なかでも茅ヶ崎市は、神奈川県10万人以上の市区において1位の上昇率となりました。
こうした移住&セカンドハウス所有の中核を成しているのが、50代から60代のプチリタイア層、ならびにリタイア層で、かつある程度資産にゆとりのある人々です。
とはいえ、もともと地元で住んでいる人たちや、先発移住組が形成しているコミュニティとうまく溶け込めるかどうか、また小学校のキャパ不足といったインフラの問題が生じている場所もありますから、子供がいる世帯の場合は、学校や塾、習い事、病院といった生活インフラが整っているかどうかという点がポイントになりそうです。
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「人口動態分析」から読み取る賃貸住宅の今後の動向
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総務省が7月26日に、住民基本台帳に基づく、2023年1月1日時点の人口動態調査を発表しました。人口動態はすべての経済活動の基本になるデータですが、その調査結果から今後の賃貸住宅の動向について考えてみましょう。
日本の人口減少が本格化してきて高齢者の絶対数も減少に転じた
外国人を含め、2023年1月1日時点で、日本の人口は1億2,541万6,877人でした。2022年1月1日から約51万人減少したことになります。その内訳を見ると、日本人は1億2,242万3,038人で約80万人の減少、外国人は299万3,839人で約29万人の増加でした。
日本人の減少は昨年が61.9万人、一昨年が42.8万人というように年々減少傾向にあり、今年の80万人減は過去最多で、都道府県別に見ると、昨年はプラスだった沖縄もマイナスとなり、全都道府県で人口が減少していることがわかります。
一方で、人口の多い上位8つの東京都、神奈川県、大阪府、愛知県、埼玉県、千葉県、兵庫県、北海道の人口は、日本全体の半分を超える50.75%を占めていて、都市部の人口集中は相変わらず続いています。
人口の増減は自然増減と社会増減に大別されます。自然増減は出生数と死亡数の差し引きで求められるもので、今回の調査では日本人の自然増減は79万3,324人の減少でした。これは15年連続で減り続けており、調査開始以来最も大きな減少でした。
2022年の日本人の出生数は77万1801人で、1979年の調査開始以来最少です。一方、死亡者数は156万5,125人で過去最多となりました。
また日本から海外への転出者数と、海外から日本への転入者数の差し引きを示すのが社会増減ですが、日本人の社会増減数は7,199人の減少でした。これに対して外国人の社会増減数は、ここ2年ほどは新型コロナウイルスの影響で減少していましたが、2022年は28万1,425人の増加に転じています。
次に世代別の人口動態を見ると、かねてからいわれているように、少子化の影響によって、15歳未満の日本人の人口は、1994年の調査開始以降、毎年減少傾向をたどっています。1995年時点における15歳未満人口は全体の15.95%でしたが、2023年時点では11.82%となりました。
一方、65歳以上の人口は3,589万人で、調査開始以来増加傾向をたどってきましたが、今年初めて減少しました。それでも全日本人に占める割合は28.62%で過去最多であり、1995年の14.56%と比べると約2倍に増えています。
これは超高齢社会が、いよいよ後半戦に差し掛かったことを意味します。2025年には団塊世代が全員、75歳以上の後期高齢者になることもあり、今後は高齢者の死亡が増えることになるため、老年者総数は減少していくものと考えられます。
住宅の将来動向を考えるにあたっては人口そのものよりも世帯数の増減が重要
いうまでもなく、このような人口の減少は、GDPの下押し要因になりますし、不動産市況にも影響を及ぼします。
たとえば、労働に携わる「生産者年齢人口」が、将来的に大きく減少するとなれば、オフィスを含む商業用不動産の市況にはマイナスとなります。ただ、現在の生産者年齢人口の定義である15~64歳が、はたして現実的かどうかを考えることも大事です。近年では70歳まで働くのが当然という認識もあり、そこからすれば、生産者年齢人口の実質は18~70歳と考えられます。ここしばらくは、意外と生産者年齢人口は減らず、案外、商業用不動産市況への影響は中立かもしれません。
では、住居については、どのような影響が及ぶでしょうか。
まず注目していただきたいのが世帯数です。2022年の世帯数は6,026万6,318世帯で、初めて6,000万世帯の大台を突破しました。人口は減少しているのに、世帯数は増加の一途をたどっているのです。
1世帯平均構成人員は2.08人で、こちらは減少の一途をたどっています。それだけ単独世帯が増えていることを意味します。ちなみに1968年当時の1世帯平均構成人員は3.76人でした。
なお、都道府県で見た場合、1世帯平均構成人員の少ない都道府県で1位が北海道、2位が東京、3位が高知県でした(1世帯平均構成人員が多いのは、福井県、山形県、富山県の順でした)。
このようにトップ3に大都市圏と、人口流出県が並んでいるものの、大都市圏の場合、特に東京はそうですが、独身者が多いことから単独世帯が多く、一方で高知県のような人口流出県においては、子供が独立して大都市圏に出ていき、老夫婦の2人世帯で、いずれか片方が亡くなって単独世帯になるというケースが多くを占めていると思われます。
単独世帯が増える半面、世帯数全体が増えるとすれば、賃貸住宅需要は決して悪くはないと考えられます。
ただし、求められる住宅は変化します。単独世帯が増えるわけですから、それに合わせた住居が必要です。
とはいえ、単独世帯=ワンルームということではありません。未婚者や離婚者が増える一方、若年層が減るのだとしたら、ワンルームよりも30~50㎡程度の広さを持つ1LDKや2DKといった間取りが、これから求められるのではないでしょうか。あるいは、これから高齢者が激増するのが都市部であることを考えると、都市部においては1人暮らしの高齢者住宅に対するニーズが一段と高まると思われます。
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カテゴリ:業界NEWS / 投稿日付:2023/11/03 10:33
浜松市南区のセンチュリー21浜松不動産販売です。
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地価情報から法令改正、トレンドなど様々な情報を濃縮してご提供しますので是非ご参考にしてください。
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住宅ローンにおける減税省エネ基準適合
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2024年以降は「省エネ基準」を満たさないと住宅ローン減税を受けられない
住宅ローン減税は、住宅ローンを組んでマイホームを購入した人を対象にした減税措置で、一定の条件はあるものの、年末の住宅ローン残高に0.7%(2022年改正)を乗じた金額を所得税等から最大13年間差し引くことができる制度である。
住宅ローン減税を受けるためには、住宅ローンの返済期間が10年以上あること、自宅の購入であること、金融機関から住宅ローンを借り入れていること、住宅を取得してから6カ月以内に自ら居住を開始することなどの条件があり、新築住宅であれば2023年内に入居した分については、省エネ基準に適合しない「その他の住宅」であったとしても、3,000万円を上限にして住宅ローン控除を受けることができる。
しかし2024年以降、住宅ローン控除を受けるためには、省エネ基準に適合した住宅・建物であることが条件になってくる。
具体的には、2023年末までに建築確認を受けている場合は、省エネ基準を満たしていなくても、2,000万円を上限にして住宅ローン控除を受けられるが、原則として2024年以降入居分については、省エネ基準に適合しない「その他の住宅」だと、住宅ローン控除が受けられなくなる。
省エネ基準が導入されたのは、地球温暖化対策がきっかけ
冒頭でも触れたように、菅前首相は2020年10月の所信表明演説で、「2050年カーボンニュートラルの達成」を宣言した。
さらに2021年4月の気候サミットで、2030年度における温室効果ガスを2013年度から46%削減するという発言も行っている。これを受けて目下、国を挙げて温室効果ガスの削減に取り組んでいるのは周知のとおりだ。
最終エネルギー消費量の推移を見ると、1990年比で最も削減が進んでいるのは「産業部門」で、2019年時点において15.7%減と順調に減少している。また運輸部門は1.4%減だ。これに対して、業務部門+家庭部門を見ると、16.9%増というように大幅増となっている。
それぞれのシェアを見ても、産業部門が52.6%から46.3%に減少したのに対し、運輸部門は微増。ところが業務部門+家庭部門は、24.9%から30.4%へと大幅増という結果となった。
そうしたデータを受けて、たとえば住宅への太陽光パネルの設置については、「2030年には新築戸建住宅での太陽光発電設備の設置割合6割」、「2050年には設置が合理的な住宅・建築物において太陽光発電設備の設置が一般的」となることを目標とする、と2021年10月22日に閣議決定されたエネルギー基本計画に明記された。
ただし、住宅に対して省エネのための設備を設置するには当然、相応のコストがかかってくる。そのために、省エネ基準適合住宅、ならびにZEH水準省エネ住宅に対して税制優遇措置が導入された。
また一方で、省エネ基準に適合しない「その他の住宅」に対する税制優遇措置を無しとしたのは、省エネ促進を加速させるためでもある。
住宅建築コストの上昇分に応じて税制優遇措置にも格差がつけられた
2024年1月以降に建築確認を受ける新築住宅で、住宅ローン減税を受けるためには、最低でも省エネ基準に適合していなければならない。
「最低でも」と書いたのは、省エネ基準適合住宅の場合、住宅ローン減税の上限は3,000万円だが、ZEH水準省エネ住宅になると3,500万円、さらに認定長期優良住宅・認定低炭素住宅になると4,500万円まで、その上限額が増額される仕組みだからだ。
こうした差をつけている理由は、それぞれの基準を満たすためには建設コストが上がる分、住宅の価格が高額になるからだ。
まず、住宅ローン減税が受けられる最低基準である省エネ基準適合住宅は、
・断熱等性能等級(外壁、窓等を通しての熱の損失の防止を図るための断熱化等による対策の程度を示す等級)4以上かつ
・一次エネルギー消費量等級(一次エネルギー消費量の削減のための対策の程度を示す等級)4以上の性能を有する住宅が該当します。
一方、ZEH水準省エネ住宅は、
・断熱等性能等級5以上かつ
・一次エネルギー消費量等級6以上の性能を有する住宅が該当します。
なお、2024年以降に建築確認を受けた住宅を建設するに際して、住宅ローン減税を受けるためには、「省エネ基準適合住宅」であることの証明書として、
①建設住宅性能評価書の写し
②住宅省エネルギー性能証明書
のいずれかを提出しなければならない。
これらの書類は、住宅を購入する人が単独で取得するのが極めて困難であるため、設計者や施工業者の協力が必要になる。
「建設住宅性能評価書」は、登録住宅性能評価機関が発行するもので、断熱等性能等級が4以上、一次エネルギー消費量等級が4以上であることを証明したものが有効となる。
また「住宅省エネルギー性能証明書」は、登録住宅性能評価機関のほか、対象住宅の設計・工事監理等を実施した建築士による証明も可能であり、前出の建設住宅性能評価書に比べると、柔軟な対応が可能になっている。
築古物件についても建て替えが進むことで全体として住宅の省エネ化が促進される
今後、住宅・建築物分野の省エネ対策は、全面義務化とともに、義務基準の底上げが進められていく予定だ。
まず、2025年4月(予定)からは、原則としてすべての新築住宅・非住宅に対して省エネ基準への適合が義務付けられる。これがいわゆる「全面義務化」と呼ばれるものだ。したがって2025年4月以降(予定)、工事に着手する建築物はすべて適合義務の対象となる。
こうして2030年にはZEH・ZEB(ネット・ゼロ・エネルギー・ビルディング)水準の省エネ性能の確保を目指すとともに、2050年にはストック平均でZEH・ZEB水準の省エネ性能の確保を目指すことになっている。
ただ、ストック平均でZEH・ZEB水準の省エネ性能の確保を目指すに際しては、1980年代、あるいは1990年代の省エネ基準の適合を一切考慮せずに建築された住宅・建築物をどうするのか、という問題があるように思える。
しかし、これらの築古物件については老朽化によって順次、建て替えられる可能性が高い。そのため、新しく建て替えられるときには、嫌が応でも「省エネ基準適合住宅」、並びに「ZEH水準省エネ住宅」に適合する住宅になるため、全体で見たときの省エネ性能は、徐々に底上げされていくだろうと考えられている。
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カテゴリ:業界NEWS / 投稿日付:2023/10/27 09:22
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第48回「不動産投資家調査」から不動産に対する“プロの見方”を読む
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2023年5月に、「不動産投資家調査」(一般財団法人 日本不動産研究所)が公表されました。デベロッパーや商業銀行、不動産賃貸業といった不動産のプロを対象とした調査ですが、その結果から現下の不動産市況の動向を彼らがどうとらえているのかを見てみましょう。
多くの物件においてキャップレートが低下している
この「不動産投資家調査」には、アセットマネジメント会社、デベロッパー、商業銀行、投資銀行、生命保険会社、不動産賃貸業などへのアンケート調査に基づいたキャップレート動向が示されています。
キャップレートとは、不動産に投資している側が、「このくらいの利回りは欲しい」と考えている期待利回りのことです。この数字の変化は、不動産投資の意欲を測る指標であり、これが上昇しているときは不動産価格が下落していることを示すので「弱気」、低下しているときは不動産価格が値上がりしていることを示すので「強気」になります。
物件の違いによるキャップレートの動向を見ると、Aクラスのオフィスビルは、京都と広島で0.1ポイント低下しましたが、東京・丸の内・大手町をはじめとする多くの調査地区は、前回比で横ばいでした。
住宅は東京・城南のワンルームタイプとファミリータイプが前回比で0.1ポイント低下して、1999年4月にこの調査が開始されて以来、最低水準を更新しています。ちなみにファミリータイプのキャップレート低下は、多くの地方都市でも見られました。
商業施設は、都心型高級専門店のうち銀座の数字で0.1ポイント低下。コロナ明けによる人流回復が背景にあると考えられます。また、それ以外の調査地区では前回比横ばいでした。
物流施設は東京(江東区)で前回比0.1ポイント低下し、この調査が開始されて以来、初めて4%を割り込んだものの、他の調査地区は前回比横ばい。
そしてホテルは、札幌や名古屋、大阪、那覇で0.1ポイント低下しました。ここでもコロナ明けの人流回復の動きが見られます。
賃貸住宅のキャップレートは最低水準を更新した地域も多い
投資家の投資意欲という観点で注目したいのが、賃貸住宅の動向です。相変わらず強気です。
ワンルームタイプの賃貸住宅(25~30㎡、築5年未満、駅徒歩10分以内)のキャップレートは、調査地区である全国10カ所の主要都市のうち、東京城南地域、名古屋、大阪、広島で0.1ポイント低下し、それ以外の調査地区は横ばいでした。
ちなみに前回調査時は、8都市で最大0.3ポイント低下したので、全国的には、ほぼ横ばいです。
東京城南地域とは、目黒区、世田谷区など、渋谷駅・恵比寿駅へ電車で15分圏内の地区を想定していますが、この地区におけるキャップレートは3.8%まで低下しました。これは、同調査が開始されて以来、最低水準の更新となります。
また、ファミリータイプの賃貸住宅(50~60㎡、築5年未満、駅徒歩10分以内)でも、東京城南地域は、前回調査の4.0%からさらに低下して3.9%となりました。これも調査開始以来、最低水準の更新です。
実勢の取引利回りはキャップレートを下回る状態に
さらに注目したいのは、キャップレートと実際の取引利回りのギャップです。キャップレートは、あくまでも期待利回りであり、実際の不動産市場で取引される際の利回りと常に一致するとは限りません。
たとえば城南地域のワンルームマンションを事例に挙げると、キャップレートが3.8%であるのに対し、実勢レートは3.5%でした。またファミリータイプでも、キャップレートが3.9%であるのに対し、実勢レートは3.6%となっています。この傾向は東京城東地域でも見られますし、大阪など主要大都市においても、実勢レートがキャップレートを下回る状態にあります。
このように、実勢レートがキャップレートを下回るのは、それだけ不動産投資家が強気であることの証拠です。なぜなら、期待されている利回りに達していなくても、物件を購入していることになるからです。それだけ多くの資金が、賃貸市場を中心に流入していることを意味します。
では、この強気はいつまで続くのでしょうか。
今回の調査では不動産の専門家に対して、不動産への新規投資意欲に関するアンケート調査も行われました。
それによると、「今後1年間の不動産投資に対する考え方」の項目の回答として、「新規投資を積極的に行う」という回答が96%もありました。これは前回調査に対して1ポイントの上昇で、過去最高を更新しました。一方、「新規投資を控える」という回答は3%で、前回調査に比べて2ポイント低下しています。
この活況ぶりから、一部では「バブルではないか」という声も聞こえてきます。しかし、日本銀行は植田新総裁のもと、当面の間は金融緩和政策を継続する意向を示しているだけに、まだしばらく国内不動産市場の活況は続きそうです。
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〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓カテゴリ:業界NEWS / 投稿日付:2023/08/25 16:16
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木造建築費の大幅アップで火災保険金額の見直しも必須に
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2021年3月頃から表面化してきた「ウッドショック」による木材価格の急騰や、人件費のアップによる建築価格の上昇は火災保険の金額にも影響してくる。その対応はどうなっているのかをレポートする。
木造住宅の工事原価が大幅上昇中
現在、世界的に広まっているインフレの原因は、コロナ禍で世界の主要都市や港でロックダウンが行われ、経済活動の停滞とともに各種グローバルサプライチェーンが滞り、世界的な供給不足が生じたことが主な要因といえるだろう。
その影響はさまざまな分野に及んで、世界的なインフレを引き起こしているが、その嚆矢(こうし)の一つともいえるのが、2021年3月頃から表面化してきた「ウッドショック」と呼ばれる木材価格の急騰だ。
木材価格やその他の建設資材の価格上昇は建設費に影響を及ぼす。建設物価調査会総合研究所が2022年1月に公表した「建設物価建築費指数(2021年12月分)」によると、住宅(木造)の工事原価は前月比で4.5%増であり、前年同月比では13.0%の上昇となった。2011年を100ポイントとした工事原価は、2021年12月時点で131.2ポイントだった。
工事原価の大幅な上昇が、新築時のコスト上昇として意識されることは当然だが、実は火災保険で必要とされる補償金額にも大きな影響を及ぼすことにも注意が必要だ。
火災保険契約者の8割近くが十分な補償を受けられない状態
火災によって建物に損害が生じたとき、保険でどこまでカバーされるのか。ソニー損保が2021年12月の上記データをもとに、戸建てで火災保険を契約している全国400人を対象にして「火災保険の建物補償と再調達価格のギャップ調査」を行ったところ、万が一の際、十分な補償を受けられない可能性のある人が79.3%にも達したことがわかった。
たとえば現在、加入している火災保険や共済について、「補償金額や補償内容を変更せず、更新・継続している」と答えた人の割合は、全体の67.4%を占めている。しかも、「過去10年間で約30%建築費が上昇していることを知らなかった人」が68.5%を占めた。
かつ、「建築費が上昇しているにもかかわらず、建物保険金額の見直しをしていない人」は79.3%もいることが判明している。
とはいえ、建物に及ぶリスクに対して、多くの人が無関心というわけではない。火災保険の加入先や契約内容を変更した人のうち、49.5%の人が新たに地震保険に加入したという数字も出ている。近年、増えている自然災害に対する危機感が、この数字に表れているのは事実だ。
しかし、こうした自然災害や火災などによって自宅に損害が生じたとしても、建物保険金額の見直しを行っていない人が79.3%もおり、かつ2011年から2021年末で住宅(木造)の工事原価が30%以上も値上がりしていることを考えると、損害を被った自宅を再建する際に、現在と同等の建物を再建できないリスクが高まってくる(ちなみに、今年4月に発表された「建設物価建築費指数」の最新のデータでは、工事原価は141.3ポイントになっており、2011年よりも40%以上の上昇となっている)。
昨今のように物価が高騰している局面においては、建設費高騰に対して補償金額が追いついているのかどうかにも配慮する必要がありそうだ。
図表1
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令和5年度土地・住宅税制改正のポイント
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令和5年度税制改正大綱が令和4年12月に閣議決定され、これを受け本年3月、税制改正法案が可決成立しました。改正のうち不動産関連の税制改正をピックアップして解説します。
1.低未利用土地等を譲渡した場合の長期譲渡所得の特別控除
(1)制度の概要
活用されていない土地(市区町村長の確認が必要)を売却した場合には、長期譲渡所得から100万円の特別控除をするという制度です(図表1)。
この特例の主な要件は下記のとおりです。
①譲渡した者が個人であること
②都市計画区域内にある低未利用土地等であること、および譲渡後の利用について市区町村長の確認がされたものの譲渡であること
③譲渡年の1月1日において所有期間が5年を超えるものの譲渡であること
④建物を含めた金額が500万円以下であること
⑤その個人の配偶者、その他一定の関係者に対する譲渡ではないこと
⑥交換特例、居住用財産の特例等の適用を受けないこと
⑦適用を受けようとする低未利用土地等と一筆の土地から分筆された土地について、その年の前年または前々年において、この適用を受けていないこと
(2)改正内容
次の措置を講じた上、令和7年12月31日まで3年間延長する。
・譲渡後の利用要件の用途からコインパーキングを除外する
・次の区域内にある低未利用土地を譲渡する場合の譲渡価額の要件を500万円以下から800万円以下に引き上げる
イ.市街化区域、または非線引区域(用途地域が定められている区域に限る)
ロ.所有者不明土地対策計画を策定した市区町村の区域
(3)ポイント
この制度によって、空き家や空き地の活用が期待されています。地域は限定されますが、譲渡価額の要件が800万円以下に拡大されたことで、活用の幅も広がるのではないでしょうか。
また、令和5年4月1日からスタートした民法改正と合わせて活用ができると考えます。
たとえば共有になっている土地で、相続が続き、共有者が誰かわからない、音信不通で連絡も取れないなど、固定資産税は代表者に毎年通知が送られてきますので、仕方なく全額を負担しており、手放したいと思いながらも、共有者の同意が取れずに処分できないという不動産は少なくありません。
今回改正された民法では「所有者不明共有者の不動産の持分の譲渡」が新たに創設され、裁判所の決定によって、申し立てをした共有者に、不明共有者の不動産の持ち分を譲渡する権限が付与されるので、売却がしやすくなります。
2.空き家に係る譲渡所得の特別控除の特例
(1)制度の概要
相続人が、相続により生じた古い空き家を譲渡した場合、譲渡所得から3,000万円を特別控除する制度です。
もともと居住用(自宅)の土地建物を売却した場合には、譲渡所得3,000万円まで控除してくれる特例がありますが、その自宅に住んでいた所有者が売却した場合に限られ、相続人が取得しても、その相続人自身が住んでいなければ、控除は適用できません。ですから、相続しても譲渡などはせず、そのまま空き家になっているケースがあったのです。
そこで、居住していない相続人でも3,000万円控除を使えるようにして、流通を促し、空き家を増やさないようにする意図で平成28年に創設されました。
この特例の主な要件は下記のとおりです。
①昭和56年5月31日以前に建築された家屋(区分所有建築物を除く)で、その家屋を取り壊して譲渡するか、家屋ごと譲渡する場合には、譲渡のときにおいて、耐震基準に適合すること。
②家屋に被相続人以外に居住していた人がいなかったこと
③相続開始後3年を経過する年の年末までの譲渡であること
④譲渡の対価が1億円以下であること
⑤相続で取得してから売却までの間に、事業用、貸付用、居住用に供されていないこと
⑥譲渡した不動産について、相続税の取得費加算の特例、収用の特別控除など他の特例の適用を受けていないこと
⑦同一の被相続人から相続または遺贈により取得した被相続人居住用家屋または被相続人居住用家屋の敷地等について、この特例の適用を受けていないこと
⑧親子や夫婦など特別の関係がある人に対して売ったものでないこと
(2)改正内容
次の措置を講じた上、令和9年12月31日まで4年間延長する。
・買主が譲渡の日の属する年の翌年2月15日までに耐震改修、または家屋の取り壊し工事を行った場合、工事の実施が譲渡後であっても適用
・譲渡する不動産を取得した相続人の数が3人以上である場合には、特別控除額を3,000万円ではなく2,000万円とする
・上記の改正は、令和6年1月1日以後の譲渡について適用する
(3)ポイント
空き家の3,000万円控除については、現行では譲渡するときまでに売り主が要件を満たさなければならなかったのが、譲渡後に買い主が要件を満たすことで適用されることになるので、使い勝手がよくなると思われます(図表2)。
相続人が複数で相続した場合、1人あたり3,000万円の控除を使えたのですが、3人以上の場合は1人2,000万円の控除に下がることになりました。
なお、相続直前において被相続人の居住の用に供されていた家屋が対象ですが、2019年4月1日以後の譲渡については、被相続人が要介護認定を受け、かつ相続開始の直前まで老人ホーム等に入所していた場合(老人ホーム等の入所から相続開始の直前まで、本人の一定の使用があり、かつ事業用、貸付用、本人以外の居住用などがない場合に限る)についても適用対象となっています。
上記要件の「相続で取得してから売却までの間に、事業用、貸付用、居住用に供されていないこと」があることに注意が必要です。親の自宅を相続した後に、自分が使わないからと賃貸に出してしまうと、この特例は使えなくなってしまいますので、賃貸に出す前に、売却することがないか、よく検討する必要があります。
3.10年超所有の事業用資産の買い替え特例
10年超保有する事業用資産を譲渡し、新たに事業用資産を取得した場合(土地の場合300㎡以上などの要件あり)、譲渡した事業用資産の譲渡益について、最大80%(一部75%・70%)の課税の繰り延べをする制度を、次の措置を講じた上、令和8年3月31日まで3年間延長する。
・東京23区から地域再生法の集中地域以外への本店移転を伴う買い替えについては、最大90%(現行80%)の課税の繰り延べとする
・地域再生法の集中地域以外から東京23区への本店移転を伴う買い替えについては、最大60%(現行70%)の課税の繰り延べとする
より地方への移転を促進し、税制の優遇をするものになります。
4.長寿命化に資する大規模修繕工事を行ったマンションに対する固定資産税の減額措置の創設
一定の要件を満たすマンションにおいて、長寿命化に資する大規模修繕工事が令和5年4月1日から令和7年3月31日までの間に実施された場合に、マンションの家屋に係る固定資産税額(1戸あたり100㎡相当分までに限る)の6分の1以上、2分の1以下の範囲内(参酌基準:3分の1)において市町村の条例で定める割合に相当する金額を減額する。
《対象となるマンションの要件》
・築後20 年以上が経過している10 戸以上のマンション
・長寿命化工事を過去に1回以上適切に実施
・長寿命化工事の実施に必要な積立金を確保
なお、管理計画の認定を受けている分譲マンション等が対象となります。
5.生前贈与加算
(1)制度の概要
相続税を回避するために、贈与を分割して行うことによって、相続税の節税が容易に行われるのを防ぐという趣旨で、令和3年税制改正のときから検討されていたものです。
贈与税は年間110万円の基礎控除があります。つまり、年間110万円以内の贈与を毎年行って非課税で財産を移転しておけば、財産が減少した分、相続税は下がることになります。
現在も日本の相続税では、その防止策として、相続(亡くなる)前3年以内の相続人に対する贈与はすべて相続税の課税対象にしていましたが、この「3年」が諸外国から比べると短いことが指摘されていました。
(2)改正内容
・相続直前にした生前贈与を相続税課税の対象にする制度(生前贈与加算)について、現行3年以内を、7年以内の生前贈与まで対象にする
・延長された4年間(相続開始前7年以内のうち直前3年以外)に贈与された財産については、合計額から100万円を控除した残額を相続税の課税対象にする
・この改正は令和6年以後に贈与する財産に係る相続税、または贈与税について適用とする
図解すると図表3のとおりになります。
(3)ポイント
この改正は令和6年以後に贈与する財産に係る相続税、または贈与税について適用になります。したがって、令和5年に行われる贈与は、現行の相続前3年以内のものだけが相続税の対象になります。相続はいつ発生するかわかりません。できる限り令和5年中に贈与するのが賢明と言えるでしょう。
さらに、7年以内の生前贈与の加算は「相続または遺贈により財産を取得した人」が対象なので、相続人以外の人への贈与は対象ではなく、たとえば孫への贈与であれば相続直前の贈与でも相続税に影響しません。孫への生前贈与は、相続対策に引き続き有効ということです。
6.相続時精算課税制度の改正
(1)制度の概要
相続時精算課税制度とは、原則60歳以上の親や祖父母から、18歳以上の子や孫へ、2,500万円までは贈与税がかからずに、贈与ができる制度です。贈与する財産の種類、回数には制限がなく、金額についても制限はありませんが、2,500万円を超える部分には、一律20%の贈与税がかかります。そして、将来、贈与した親等が亡くなったときには、その贈与した財産はすべて、その親等の相続財産に含めて相続税が計算されます(納めた贈与税は相続税から差し引かれます)。
贈与税がかからなくても相続税がかかる可能性があり、税金を免除するものではなく、相続財産を前渡しする制度ですから、原則として相続税の節税にはならず、また、この制度を一度選択すると、撤回することもできないため、その親からの贈与については、今後、毎年の110万円の基礎控除は使えなくなってしまうのです。将来の相続税の節税をしたい方にとっては、適用すると不利になってしまうため、これまでこの制度を使う方は少なかったのです。
(2)改正内容
・令和6年以降の相続時精算課税制度による贈与については、2,500万円の非課税枠とは別に年間、基礎控除110万円を控除できる改正のイメージは図表4のとおりです。
・相続時精算課税制度により不動産を贈与し、令和6年以後の一定の災害によって被害を受けた場合には、相続税の課税対象とするのは下落した価格とする。
(3)ポイント
礎控除を併用するイメージで、相続税課税の対象についても110万円を控除した後の金額が対象になります。
この制度は、子どもが若いうちに財産を受け取ることで、若い世代の消費を促し経済を活性化させることを期待して導入されたものですので、使い勝手をよくして利用者を増やすことを意図した改正と思われます。
相続直前の贈与でも110万円以内の贈与であれば贈与税も相続税もかからないことになりますので、今後は、相続時精算課税制度をうまく使った対策が活用されそうです。
なお、不動産を贈与する場合には、登録免許税、不動産取得税がかかります。また、贈与した土地については相続税の小規模宅地等の特例、空き家に係る3,000万円の特別控除の特例などの適用ができません。贈与する場合には、これらの特例を適用しないかどうか事前の検討が必要です。実施する際には税理士などの専門家に相談するようにしてください。
7.その他の延長項目
◎土地の売買、信託による移転登記の登録免許税の軽減について3年間延長
◎優良住宅の造成等のために土地等を譲渡した場合の長期譲渡所得の課税の特例について、対象事業を見直しの上、3年間延長
◎買取再販で扱われる住宅の取得等に係る不動産取得税の軽減措置について2年間延長
◎一定のサービス付き高齢者向け賃貸住宅に係る不動産取得税及び固定資産税の減額措置について、床面積要件の上限を160㎡以下(現行:180㎡以下)に引き下げた上、2年間延長
◎リート及び特定目的会社が取得する不動産に係る登録免許税、不動産取得税の軽減措置を2年間延長する
◎不動産特定共同事業において取得される不動産に係る登録免許税、不動産取得税の軽減措置について、不動産取得税の軽減の対象を一部見直した上、2年間延長
◎短期所有土地の譲渡等をした場合の土地の譲渡等に係る事業所得等の課税の特例について、適用停止措置を3年延長
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カテゴリ:業界NEWS / 投稿日付:2023/06/23 09:23
浜松市南区のセンチュリー21浜松不動産販売です。
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地価情報から法令改正、トレンドなど様々な情報を濃縮してご提供しますので是非ご参考にしてください。
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2023年の「地価公示」の動向を分析する
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新型コロナウイルスの感染が今後再び進むのかどうかはともかく、現時点では「弱毒化した」という認識のもと、行動制限は解かれ、景気も緩やかながら回復基調にあります。そうしたなか、3月22日に発表された2023年の地価公示の中身を読み解いてみましょう。
地方四市以外の地方圏における住宅地価格が28年ぶりに上昇
2023年の公示地価は、1月1日時点の地価を示すものなので、アフターコロナによる経済活動の回復を織り込んだ価格形成になります。
まず、全国の住宅地・商業地・宅地見込地・工業地という全用途平均の地価は、前年比+1.6%となりました。
これは、2008年に起こったリーマンショック前のミニバブル期における+1.7%に匹敵する大きな伸びであるのと同時に、22年の+0.6%に続き、2年連続で全国平均が上昇したことになります。
23年の地価公示で、特筆しておきたい注目点について説明していきましょう。
まず地方圏の地価動向ですが、札幌市、仙台市、広島市、福岡市という地方四市以外の地方圏における住宅地の地価が、+0.4%となりました。小さな数字と思われるかもしれませんが、地方四市以外の住宅地価格がプラスに転じたのは、実に28年ぶりのことで、住宅地の地価上昇が、地方主要都市以外のところに波及していることがわかります。
(都道府県別の内訳は図表3参照)
その理由は、北海道の地価動向(図表2)を見ると一目瞭然です。住宅地の変動率は札幌市では+15%と高い数字を示しています。これは北海道全体の経済がきびしいなかで、相対的に経済水準が高い札幌市に人口が集中しているからです。いわば札幌市は、北海道内で東京化しているといえます。そして、東京の周辺地域である神奈川県、千葉県、埼玉県の地価が連れ高しているように、札幌市の周辺地域である江別市・北広島市・石狩市でも地価が急騰しています。
実際、全国の住宅地の変動率上位を見ると、トップ10はすべて札幌市の周辺地域でした。札幌市の周辺地域は「地方四市」ではなく「その他」に含まれるため、地方四市以外の地方における住宅地の地価が押し上げの一因になっています。
北海道における札幌市と同じ現象は、他の地域でも垣間見られます。九州における福岡市、東北における仙台市でも東京化が進み、その周辺地域から人が集まっているため、住宅地の地価が大きく上昇しました。
ちなみに地方四市のなかでは広島市の上昇率が低いのですが、これは広島市が東京化する以前に、福岡や大阪などに人流がシフトしたためと考えられます。
図表3・図表4
駅直結型タワーマンションブームで商業地の地価が上がっていることに注意
次に商業地です。まず、2020年に大幅上昇し、翌年は下落に転じており、「コロナ禍の2020年になぜ?」と思われるかもしれませんが、これは地価公示が1月1日時点の地価であり、2020年1月1日時点では、コロナ禍の影響が反映されていなかったからです。
2023年の数字を見ると、基本的には回復基調にあり、特に三大都市圏である東京圏、大阪圏、名古屋圏においては、2022年と2023年を合わせた上昇率が、2021年の下落率を上回ってきています。
また地方四市の商業地は、実はコロナ禍の影響を色濃く反映した2021年でさえプラスでした。そして2023年は+8.1%であり、これは他のどの地域に比べても高い上昇率となっています。
一方、地方四市以外の地方圏においては、まだまだ戻りが鈍いといえるでしょう(都道府県別の内訳は図表4参照)。2021年は-0.9%、2022年には-0.5%というように、2年連続で下落しものの、2023年は+0.1%ですが、上昇に転じました。
ただ、商業地の地価動向で注意しておかなければならないのは、回復基調をたどりつつある三大都市圏、ならびに地方四市の裏事情です。
これらの都市部ではここ数年、駅直結型のマンションがブームです。これは1階、2階部分が商業施設で、その上が居住棟になっているタワーマンションのことで、その多くは駅近の商業地に建設されています。こうしたマンションが人気化していることによって、商業地の地価が押し上げられている側面があります。
これらのマンションを購入しているのは、共働きで高収入を得ているパワーカップルが中心です。駅近の保育園に子供を預け、そのまま電車で出社するような夫婦にとって、非常に利便性の高い立地条件ではあるのですが、そもそも住宅地ではないため、あまり住む場所には向いていません。商業地であることから人も多く、年中ざわついています。今は便利でも、やがてマイナス面を意識するときがくるかもしれません。今の需要が長続きするとは思えず、ブームが去った後、商業地にどのような影響を及ぼすのか、という点には留意しておく必要があります。
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これらを踏まえたうえで2024年にかけての動向ですが、基本的には堅調だろうと考えています。というのも、7月1日時点の地価動向を示す基準地価との共通地点(基準地価は22年分)における地価変動率を見ると、一部横ばいのところはありますが、基本的に前半に比べて後半の伸び率が高くなっているからです。なかでも商業地は、これからインバウンド需要が本格的に回復してくる局面にあるため、前述した駅前マンションの一時的ブームの剥落という懸念材料があるにしても、総じて2023年に比べれば伸びるものと考えられるでしょう。
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